書籍紹介
鉄道技術者の国鉄改革-関門トンネルから九州新幹線まで-
「分割民営化」の記憶が薄れつつある今だから残しておきたい記憶
明治の創業以来、全国の鉄道網は、経済発展と国民生活の向上のために貢献してきました。その中で1987年日本国有鉄道が民営分割化されたのは特筆すべきエポックといえます。
以来、約四半世紀が経過、今ではJR各社でも国鉄改革後に採用された職員が過半数を占め、痛みを伴った国鉄改革の経験も記憶も薄れつつあります。
本書は、世界初の鉄道用海底トンネル「関門ずい道」建設や九州新幹線に携わった下関工事事務所を事例として、改革当時の史資料などを整理してまとめたものです。
長期債務の返済、整備新幹線など国家的な大規模プロジェクトの取り扱い、鉄道技術の承継、さらには建設関係職員の雇用対策、九州新幹線計画の承継など課題が山積みした当時。現場はどうだったのか、とくに建設技術集団について、どのような改革を続けたのか、具体的に伝える内容となっています。
当時を知る人々にとってはもちろん、鉄道ことに国鉄ファン、研究者にとっても魅力ある一冊。後世に残したい日本の鉄道の歴史の一ページであり、貴重な回想の記録です。
著者 :高津俊司
体裁等:A5判・204ページ・並製
価格 :定価2,400円(税別)
販売 :㈱成山堂書店(電話03-3357-5861)
掲載内容
序 章 構想・計画から約40年を経て開業した九州新幹線鹿児島ルート
第一部 日本の鉄道の成り立ちから国鉄分割民営化まで-建設部門を中心として-
第2章 鉄道システムの構築と建設部門のあゆみ-明治維新から国鉄まで
第3章 日本国有鉄道における鉄道建設部門の組織
第4章 国鉄における設備投資のあゆみ
第5章 財政再建計画から国鉄改革
第二部 下関工事事務所の歴史・業績から国鉄分割民営化まで
第6章 下関工事事務所の組織と変遷
第7章 世界初の海底トンネルである関門トンネルの建設
第8章 中国、九州地区の鉄道網の整備-戦後から国鉄改革まで
第9章 下関工事事務所と国鉄分割民営-国鉄改革の現場
終 章 国鉄改革後の新幹線の建設
組合員サイト「JORSAの本棚」にも追加致しました。